Xでも社内でもしばしば「Microsoftのドキュメントがわかりづらい」という声を聴きます。私は印刷物のころから…それこそMS-DOSの時代から、ずーっと見ていたので、慣れきってしまったのか、「わかりづらい」とはあまり思っていません。もちろん初めて聞く概念や初めて学ぶ分野(例えば認証で使う標準技術に関連するところ)に関してはわかりづらいではなく、「知らない」のとMicrosoft外の技術に関しては本来の規格の仕様書を読むのが筋です。標準規格の部分に関しては軽く書かれることもありますが、それを求めるのは酷というか、対象外でいいでしょう。
で、ここではいくつかのタイプを想定して考えてみます。対象は .NET とAzureとしてみます。ほかのドキュメントでも大して変わらないかもしれませんが、私がよく見るのがこのへんなので。
Xのような140文字で「わかりづらい」では何がわからないのかわからないので、この辺はいろんな人の話を聞いてみたいと思っています。誤訳とかは「わかりづらい」ではなくドキュメントのミスなので対象外です。翻訳レポジトリへの貢献いろんな騒動で受けてくれなくなったのは残念です。
完全な未経験者
一部には初学者向けの部分もありますが、私の理解ではMicrosoft Learnは未経験者向けというドキュメントにはなっていないと思います。MCPのxx-900試験を少なくとも初見で受かるような人じゃないと難しいんじゃないかなぁ、と思います。
なので、完全な初学者はLearnで学ぶのではなく(Learnも使いつつ)、別の参考書とかIT基礎的な話が先かなと思います。
何度かAzureや.NETでシステムを作っている人
前提としてMicrosoftの用語はある程度理解できるものとします。これはおそらく日本語の機械翻訳に引っかかるケースかな、と思います。最新のものを除いて、かなりのドキュメントが日本語されるのですが、以前のニューラルネットワークベースのものはお世辞にもわかりやすいとは言えないのかな、と思います。LLMベースになってくるかもしれませんが、製品の名称であるとか、Buildを開発と訳すようなやつですね。
こういうのがちょいちょい引っかかってストレスになってわかりにくさを助長しているというのは理解できます。
Microsoft Learnの翻訳は今かなり少なくなっていると思いますが、人間が翻訳しているものと機械翻訳とが混在しています。今LLMでの翻訳はかなり良くなっているので、あとはプロンプトなどでうまく訳さないところの指示ができれば改善していくかもしれません。私もLLM使って翻訳することあります。
あと、Microsoftが古い(サポート切れた製品の)ドキュメントどんどん消しているのもある意味わかりにくさを助長していると思います。古いものからの積み重ねで「昔はいいコンテンツがあったんだけど」というものも消えて行っています。今はさすがに少なくなったと思いますが、例えばMFCを使わない素のWin32のプログラムの作り方みたいなコンテンツはいいのあったんですが、今はどこに…という感じです。
過去の知識や経験がある人なら気にならない(かもしれない)ことでも、その前提の資料がなくなると新規でやっていく人はどこを見ればいいのかわかりづらいのはあるかなと思っています。
他社サービスを普段使っていて、都合でAzureや .NET を使わなくてはならなくなった人
はじめてMicrosoftのドキュメントを読むことになった人。クラウドの基本知識はあるが、普段使いの用語に慣れきっていて、Microsoftの用語はほとんど知らないとします。おそらく多くの「わかりにくい」と言っている人はここじゃないかなと想像しています。違ったら教えてください。
ここは難しいですね。私も仕事でAWSやOracle, VMwareやRed Hatのドキュメント読みますけど、どこもそれなりに「どこにあるんだ」というケースが多いです。たいていは検索で見たいページ一発で当てられるし、今は生成AIによる検索も便利です。とはいえ、必ずリンク先はみるし、なんなら公式以外探すなとも指示します。
仮に「AWSではこうだからAzureもこうだ」という先入観でlearnを読んでいるとわかりにくいと思います。そうじゃないことがあるかもしれませんが。私AWSのドキュメント読むときは、別物としてAzureことは頭から落として読むようにしています。あと、Azureはどうしてもオンプレミスを含むハイブリッドやライセンスのことも考えると「どこに書いているんだわかりづらい」という点はそうだと思います。

あと、重要な点としては関連ドキュメントをちゃんと読むことかなと思います。私は検索で希望のページが出ても、この上のようにツリーの同じレベルのほかのドキュメントも必ず全部読んでいます。必要ないかもしれないけど、後で「書いてあった」とか「あ、この条件でダメなんだ」ということが割とわかります。
検索はたいてい「この内容が書いてあるはず」という英単語(日本語ではなく)を指定して、site:learn.microsoft.comで検索しています。英語のページが出てきますが、まぁ気にせずブラウザー翻訳使っています。