kkamegawa's weblog

Visual Studio,TFS,ALM,VSTS,DevOps関係のことについていろいろと書いていきます。Google Analyticsで解析を行っています

.NET CoreアプリをVSTSで継続的インテグレーションする(Linux版)

Linuxビルドエージェントを構成する

.NET - Powerful Open Source Development

Linuxのディストリビューションごとに手順が違うので、注意してください。私はUbuntu Server 16.04 LTSでやっています。

ビルド定義を作る

Windows版と同じ感じで作ります。

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違うのはZipパッケージの作成と、リリース用PowerShellスクリプトの代わりにシェルスクリプトが用意されていることですね。タスクはほとんどUtilityにある、Shell Scriptを使用します。

シェルスクリプトとタスクの単位

dotnet restore/buildのように連続するタスクは一つのシェルスクリプトで実施してもかまわないのでしょうが、個人的にはビルドタスク単位で別にしたほうがわかりやすいかと思います。

作成したシェルスクリプトはSolutionフォルダ内に適当なシェル用のフォルダを作って入れておくといいでしょう。

NuGetパッケージのリストア

NuGetパッケージのリストアに必要なシェルはこのようになります。

#!/bin/sh  
/usr/bin/dotnet restore  

パッケージリストア用のシェルスクリプトはテストプロジェクトでも使用できるので、使いまわしてください。

プロジェクトのビルド

ビルドに必要な最低限のシェルはこのようになります。

#!/bin/sh
/usr/bin/dotnet build -c $BUILDCONFIGURATION

$BUILDCONFIGURATIONはVariablesに定義された値です。Variablesでは大文字小文字があるように見えますが、bashではこの定義済みの値は全て大文字として定義されています。

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テストプロジェクトの実行

テストプロジェクトにあるテストを実行するにはこのようなスクリプトを実行します。テストプロジェクトを実行する前に必ずNuGetパッケージのリストアタスクをテストプロジェクトのフォルダで実行してください。

#!/bin/sh
/usr/bin/dotnet test -xml Test-Result1.xml

Windowsのビルド定義のところでも書きましたが、-xmlオプションでXMLファイルにテスト結果を出力します。複数のテストプロジェクトの結果をマージする場合、この引数はシェルスクリプトの引数として外出できるようにしてください。

パッケージを出力する

特定のプロジェクトをWebサーバーへデプロイするための最低限のスクリプトはこのようになります。

#!/bin/sh
/usr/bin/dotnet publish src/{プロジェクト名} --configuration $BUILDCONFIGURATION --output $PUBLISHOUTPUT  --framework $NETCOREVERSION

$PUBLISHOUTPUTは出力先フォルダを定義した値です。これもWindows版と同様に、システムに.NET Coreがインストールされているという前提のパッケージです。

Windows版にも書きましたが、必ず--configurationでreleaseと指定して、Release版をデプロイしてください。

場合によってはここで一気にデプロイまでやってもいいのですが、別にしています。

まとめ

Windows版と同様ですが、タスクごとにシェルスクリプト作らないといけないのが少し面倒かもしれませんね。外部にビルドサーバーが必要になるし、どうしてもLinuxでなくてはならないビルドを行う以外はHostedエージェントを使ったほうがいいように思います。
次はリリースについて紹介します。

.NET CoreアプリをVSTSで継続的インテグレーションする(Windows版)

はじめに

昨日dotnetConf関西で行ったセッション資料ではCI/CDの細かいやり方はのせていませんでしたので、ブログで詳細の解説を行います。 CIそのものはメニューのBuild & Releaseから構築します。この記事では新しいUIで説明していますが、以前のUIでもあまり関係ありません。
長くなったので、Linux版は別にします。

VSTSとビルドエージェント

VSTSには内蔵のビルドエージェント(Hosted Agent)があります。Hostedは今のところWindowsのエージェントのみになっているので、LinuxやMac環境でビルドする場合、独自のビルドサーバーを用意する必要があります。
ビルドエージェントは一台までであれば無料で接続できます。httpsのoutboundだけ通信できていればいいので、Firewallがある環境でも大体大丈夫です。

有料($15/月)支払って、一つのプールに二台以上のビルドエージェントを運用すると、並列でビルドができるようになります。並列可能ということ以外にも、エージェントを占有するので、占有しているエージェントではリポジトリのクローンが頻発しなくなるはずです。
原則1台1エージェントですが、登録するときにエージェントの名前を変えれば、一台のサーバーに複数のエージェントが登録できます。例えば、TFSとVSTSそれぞれ登録するとかもできます。サーバーの性能次第ですが、複数のVSTS/TFSを使っているときは試してみてください。

エージェントの対応OS

  • .NET CoreがサポートするWindows
  • Ubuntu 14.04/16.04(サービスとして動かす場合は16.04必須)
  • Red Hat Enterprise Linux 7.x
  • OS X 10.10/10.11

TFS 2015に接続する場合、WindowsではTFSに付属しているエージェントを使ってください。TFS "15"ではPAT(Personal Access Token)をサポートするので、.NET Core版のエージェントが使用可能になります。
VSTSのエージェントはソースも公開されています。

github.com

Windows(Hosted)で.NET Coreアプリをビルドする

では、実際にビルド定義を作ってみましょう。ASP.NET Core MVCアプリケーションを作ってコミットしておきます。
Visual Studioのテンプレートを使ってもいいですが、大部分を削除することになります。

NuGetの復元タスクを追加

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Add build stepからUtilityにあるCommand Lineを追加します。

NuGetパッケージを復元する
Tool: "c:\Program Files\dotnet\dotnet.exe"
Arguments : restore Working Folder : Project.jsonのあるフォルダ

ビルドタスク

ビルド用のCommand LineをAdd build stepで追加します。

Tool: "c:\Program Files\dotnet\dotnet.exe"
Arguments : build -c $(BuildConfiguration) Working Folder : Project.jsonのあるフォルダ

※:BuildConfigrationはVariablesでreleaseと作っておいてください(Visual Studioのテンプレートから作った場合は作られています)

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テストプロジェクトのNuGetパッケージを復元する

テストプロジェクトのNuGetパッケージ復元のCommand LineをAdd build stepで追加します。

Tool: "c:\Program Files\dotnet\dotnet.exe"
Arguments : restore Working Folder : テストプロジェクトのProject.jsonがあるフォルダ

テストの実行

テスト実行用のCommand LineをAdd build stepで追加します。

Tool: "c:\Program Files\dotnet\dotnet.exe"
Arguments : test -xml TestResult.xml Working Folder : テストプロジェクトのProject.jsonがあるフォルダ

Visual Studioでビルドする場合と異なり、プロジェクト単位でdotnet restoreを実行する必要があるので気を付けてください。

-xml にはテスト結果を出力するxmlファイルを指定します。テストプロジェクトごとに異なる名前にしてください。後で集計することができなくなります。

dotnetコマンドはフルパスで指定しなくても実行できますが、ビルド時に警告が出るので、フルパスを指定するほうが無難です。

テスト結果をVSTSにアップロード

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Add build stepで"Publish Tests Results"タスクを追加して、ビルド結果をVSTSにアップロードします。VSTEST以外にもXUnit,NUnit,JUnit(Javaなので.NET Coreには関係ないですが)などに対応しています。

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テスト結果をVSTSにアップロードすると、このようにテスト結果の品質を追跡することができます。

LnuxもしくはOS/Xでビルドする場合、出力するXMLファイル名の大文字小文字に気を付けてください。

コードカバレッジも取れるはず…Visual Studioでは取れていますが、VSTSでは集計されていません。これは少し調査します。

パッケージの出力

パッケージ出力用のCommand LineをAdd build stepで追加します。

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出力パッケージを作ります。具体的にはproject.jsonで定義されているpublishの動作が実行されます。

docs.microsoft.com

Tool: "c:\Program Files\dotnet\dotnet.exe"
Arguments : publish src/{プロジェクト名} --configuration $(BuildConfiguration) --output $(PublishOutput) --framework $(NETCoreVersion)

注意点として、publishコマンドはデフォルトでデバッグ版を出力しています。--configurationで明示的にrelease版(ここではvariablesで指定しています)を指定してください。Azureではデバッグ版実行できない(エラーになる)はずなのですが、なぜかデバッグ版をデプロイしてもApp Serviceで動いてしまってます。長い間気づきませんでした。

Framework Runtimeは組み込むか、システムインストールを使用するかはご自由に。今回はシステム組み込みのランタイムを使用する前提でやっています。

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bin\$(BuildConfiguration)\ にあるアプリケーションの実体をコピーするタスクです。このタスクは非.NET CoreのASP.NET前提のタスクのようで、フォルダ構成をそのままコピーしてくれません。

IIS(Azure App Service)にデプロイする場合、これで問題ないのですが、Linuxにデプロイするとこのタスクでは実行時に「\bin\$(BuildConfiguration)\netcoreapp1.0\モジュール名」が存在しないというエラーになります。

特別にタスクを作るか、project.jsonのpublishOptionsにbin/releaseを含めるしかないように思います。今回はproject.jsonに入れています。あと、各種jsonファイルも入っていない場合、Linux(たぶんOS/Xも)実行失敗するので、jsonファイルを忘れないようにpublishOptionsに入れましょう。

  "publishOptions": {
    "include": [
      "wwwroot",
      "Views",
      "Areas/**/Views",
      "appsettings.json",
      "project.json",
      "bin/release",
      "web.config"
    ]
  }

リリース作業用PowerShellスクリプト追加

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ここはApp ServiceにリリースするためのPowerShellスクリプトをリリース成果物としてコピーするタスクですビルド時にデプロイするなら不要です。

WebDeploy用zipファイル作成

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IIS(Azure App Service)にwebdeployでデプロイする場合、zipパッケージを作っておく必要があります。webdeployを使わない場合は不要です。

VSTSにリリース成果物を登録

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最後に成果物をVSTSにコピーします。特定のファイル共有にコピーするか、VSTSに保存します。ファイル共有はUNCでVSTSもしくはビルドエージェントからアクセスできる必要があります。

UNCで共有フォルダにコピーする場合、独自のビルドエージェントからになるでしょうね。

.NET Coreでの継続的インテグレーションと継続的デリバリー資料公開

connpass.com

このセッション資料を公開しました。連休中にもかかわらず、お越しいただいた皆様ありがとうございます。

(英語版を作ってみました)

.NET Coreのプロジェクト構造については理解していたつもりだったんですが、CI/CDを作るにあたりやってみたらいろいろはまりました。詳細はぼちぼち書いていきます。

(追記)
もう少し詳細な手順っぽいものを別記事として書き起こしました。

kkamegawa.hatenablog.jp

kkamegawa.hatenablog.jp

kkamegawa.hatenablog.jp

「アジャイルでやってみた」出版のお知らせ

長い間あまり記事の投稿ができませんでしたが、TFSUGのメンバーでこういう本を書いていたからです。

www.shuwasystem.co.jp

会社で上司に「次のプロジェクトはアジャイルで!」と指示された主人公がいろいろな問題にあたりながらも、プロセスとツールで解決していく物語になっています。いろいろなトラブルに巻き込まれながらもチームとして成長していく物語と、それを支えるツールを簡単に紹介しています。技術は「こんなことができますよ」という簡単なさわりしか紹介していないので、ツールの解説書としては少し期待外れになると思います。

9/16に発売で、Amazonでも予約ができますので、お手に取って、もし気に入ったら買ってください(^^)。

アジャイルでやってみた。

アジャイルでやってみた。

出版を記念したイベントも行われます(東京)ので、お時間に余裕のある方はぜひ参加してください。著者筆頭のちぇんわさんと、企画の中村さんが登壇されます。

tfsug.connpass.com

大阪ではこのイベントではないのですが、私が発売翌日(9/17)に開催されるdotnetConf関西でしゃべりますので、ついでにLTの時間に余裕があれば別途しゃべります。懇親会までいますので、ぜひ参加してください。

connpass.com

間に合えばいいものがあるかもしれませんので、ぜひ参加してください(^^)。大切なことなので、二回目。

この本の出版に当たり、レビューやアドバイス、帯のご協力をしていただいた、武田さん、牛尾さん、たくさんの手間と時間を使ってレビューをしてくれた横田さん、高橋さん、そして著者一同の皆さん、遅れて多大なるご迷惑をおかけした秀和システムさん、ありがとうございました。